自動車の歴史は即ちメルセデス・ベンツの歴史である。
シートベルト、エアバッグ、衝撃吸収ボディなど、現代のクルマに当たり前のように採用されているほとんどの安全デバイスはメルセデス・ベンツが開発したものだ。
1960年代、アウトバーンで事故現場には警察車両、救急車、そしてメルセデス・ベンツ社の調査部隊の車両がいた。
ドイツ政府(当時は西ドイツ)、ADAC(ドイツ自動車連盟)と共同で実施した長期間に渡る交通事故実地調査の結果は、後に誕生する事となる先進的なセーフティデバイスの源泉となった。
クルマは速くなくてはならない、快適でなければならない、安全でなければならない。
この三大原則を実現するため、膨大な時間と莫大な費用、そして熱い情熱を注ぎこんできた自動車メーカー、それが世界で最初に自動車を作ったメルセデス・ベンツなのである。
エコもやる、F1もやる。自動車メーカーにとって、それは決して二律背反な事ではない。
なぜなら、どちらもクルマの未来と進化には必要な事だからだ。
勝てないから、景気が悪いから、エコブームだからといってさっさとF1を撤退してしまうどこかの国の自動車メーカーとは大違いである。
メルセデス・ベンツは自動車を製造するメーカーの「義務」と「責任」を立派に果たしている。
換言するならば、それは自動車メーカーの「哲学」と「道徳」である。
メルセデス・ベンツに '妥協 'の二文字は無い。