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2011年9月1日木曜日

チューニングの基礎知識  「ホイールアライメント」


ホイールアライメントとは、左右のホイールに与えた傾きを指す。

左右のホイールが進行方向に対して内側を向いているのがトーイン。左右のホイールを正面から見たとき、地面に対して傾いている状態がキャンバー。実際に角度を外から見ることはできないが、ホイールを支えている軸は、上側が後方に倒れ、地面に向かう下側はホイールに対する垂直の軸より前側に位置しており、バイクや自転車のフォークに角度が付いているように、クルマのフロントホイールを支持している軸にも角度が付いている。この角度がキャスターだ。 

また、フロントホイールがコーナーリングを行うためにハンドルを切ったとき、ホイールが左右を向くときの中心軸がキングピン軸である。キングピン軸は、トラックのようなリジッドアクスルタイプのサスペンションでは実際のキングピンとして存在するが、独立懸架タイプのストラットやダブルウイッシュボーンタイプサスペンションの場合は、下側のサスペンションアームの支点になるロアボールジョイントと、上側のサスペンションアームの支点になるアッパーボールジョイントを結んだ線がキングピン角度になる。

キングピン角度をクルマの真正面から見ると、上側がボディの中央寄りに位置し、下側がボディから外に向かった、下開きの角度になっている。

ホイールに付けられたそれぞれの角度のうち、左右ホイールの上側を広くしたプラスキャンバーでは、ハンドルの操作力を軽くする作用が発生する。また、ホイールの上側を開いた状態のプラスキャンバーをつけると、ホイールを左右へ回転させるときの水平方向軸になるスピンドルに加わる力が、スピンドルの内側に加わり、スピンドルを曲げようとする力を低減させることができる。

キャスターは、キングピン角度やスピンドルとの関係により、左右を向いているホイールを直進方向に戻そうとする力になり、左右に操作したハンドルを直進位置に戻す力になると同時に、直進安定性を向上させる作用をする。

トーインは、キングピン角度やプラスキャンバーとのかね合いによってホイールが外側に転がろうとする作用を抑制する。また、ホイールは走行中に前開き状態になろうとするため、その分の角度をあらかじめ付けておくという目的もある。

ホイールアライメントは、どちらかというと直進安定性を重視した設定であるため、スポーツ走行でコーナーリング性能をアップしたいときには、標準のホイールアライメントが最適ということにならない場合もある。