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2012年2月13日月曜日

クルマの常識 ウソ・ホント!?「ディスクブレーキは、昔ながらのドラムブレーキに比べて効きが良い?」


クルマで使用しているブレーキには、「ディスクブレーキ」と「ドラムブレーキ」の2タイプがある。

この2つのうち、クルマのブレーキ機構として採用された実績という点では、ドラムブレーキのほうがずっと古い。しかし、ここ数年の間に、ほとんどのクルマはフロントに、スポーティなクルマは4輪に、ディスクブレーキを採用するようになっている。この現実を見ると、なんとなくディスクブレーキのほうが効きに関する性能が高いように思えてくる。だが、' ブレーキの効き ' という面だけで判断すれば、ディスクブレーキよりもドラムブレーキのほうが優れている。

ディスクブレーキは、タイヤと一緒に回転している鉄製の円盤(ブレーキディスク)に対し、側面からブレーキパッドを押し付けることによって、タイヤの回転を止める構造になっている。

一方、ドラムブレーキは、タイヤと一緒に回転している部分が1枚の鉄板ではなく、鍋のような形状(ドラム)になっている。そして、鍋の底部分がホイールとの接続部分になっており、鍋の側面に対して、ブレーキライニングという摩擦材が接触することで、タイヤの回転を止めるための力が生じる。

ドラムブレーキで使用しているブレーキライニングは、1輪のブレーキ機構に対して、半月状のものを2枚1組で装着。この2枚のブレーキライニングの組み付け方法によって、それぞれの呼び名があり、最近はリーディング・トレーリングというタイプが多く使用されている。

タイヤと一緒に回転しているブレーキドラムの内側に対してブレーキライニングが作用するときには、単なるブレーキドラムとブレーキライニングの摩擦力とは別に、ブレーキドラムに対してブレーキライニングがクサビを打ち込んだような作用が生じる。この状況を極端にいえば、例えば、走っている人間の膝に他の人間がタックルをするようなものだ。

一方、ディスクブレーキのほうは、ごく単純な摩擦力だけしか発生しない。効き具合の面でドラムブレーキのほうが優れている理由はここにある。

また、ドラムブレーキにはブースターという制動力補助機構を組み合わせる必要はなかったが、ディスクブレーキにはブースターを併用しないと十分な制動力が得られないので、必ずブレーキブースターが組み合わされている。このことからも、効きに関してはドラムブレーキのほうが優れていることが分かるだろう。