2012年2月10日金曜日
クルマ常識 ウソ・ホント!?「タイヤローテーションは必要?」
クルマの取り扱い説明書には「5000kmくらいを走行した時点で、タイヤのローテションをするように」といったことが書かれている。
これは、一見、理にかなっている気がする。また、クルマのメンテナンス方法の一つとして何十年も伝えられている一般常識でもある。しかし、今現在、市街地を一般的に走行しているクルマを見ると、4本のタイヤの磨耗度合いが極端に違っているようなものは、ほとんど見かけない。これは、ホイールアライメントに関する研究が進み、どの位置のタイヤも、いかなる条件下でも、できるだけ地面に対してトレッド面をフラットに位置させる(タイヤの性能を十分に発揮させる)ことを目指したクルマづくりが行われている結果だ。
通常の判断からすれば、ハンドル機能と駆動機能が別々になっているFR車よりも、両機能がフロントタイヤに集中しているFF車のほうが、フロントタイヤの磨耗度合いが大きいことになっている。しかし、現代のFF車は、特にフロントタイヤが極端に磨耗するようなことはない。
まあ、細かい見方をすれば、特にFF車の場合、フロントタイヤのほうがリヤタイヤよりも磨耗度が大きいのは、致し方ないことだ。だが、クルマのメンテナンスという点からすると、それくらいの磨耗差は大目に見て、できるだけタイヤローテーションはしないほうが有利であることは少なくない。
その道に通じている医者は、患者が履いている靴の踵の状態を見ると、その患者の内臓の健全状態が分かるという。それが本当か嘘なのか、詳しく追求してみたことはないが、こと、クルマのタイヤに関しては、その磨耗状況によって、サスペンションやハンドル機構の状況が分かり、それぞれのオーナーが普段、どんな運転をしているかも分かる。
タイヤの磨耗は、少なくとも何千km以上の走行の履歴でもある。これは、ごまかすことはできないし、それぞれのクルマのメンテナンスを行ううえで重要な目安になる。もちろん、歩道の段差などにタイヤをぶつけて、サスペンションアライメント(ホイールアライメント)が狂っている場合には、数百kmほどの走行で、1本のタイヤに異常磨耗が発生する。また、スポーティー傾向のドライビングをするユーザーのタイヤは、フロントの左右が同じように、やや外側部分の磨耗が大きくなる傾向がある。
このようなオーナーのクルマを定期点検で預かった時には「通常なら、次の定期点検まで、ブレーキパッドが使えそうだが、このユーザーの走りでは、今回、交換しておいたほうが無難かな?」といった判断材料になったりもするのである。