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2012年2月15日水曜日

クルマ常識 ウソ・ホント!?「ブレーキパッドが磨耗するとブレーキの効きは悪くなる?」


ブレーキ機構には、「ブレーキパッド」や「ブレーキライニング」という摩擦材が使われている。ブレーキパッドはディスクブレーキでの摩擦材、ブレーキライニングはドラムブレーキでの摩擦材だが、どちらも基本材料やブレーキ機構での役割はほぼ同じだ。

ブレーキパッドやブレーキライニングは、回転しているブレーキローターやブレーキドラムに接触することで制動能力を発揮するため、ブレーキを作動させるたびに少量ずつ磨耗する。

ブレーキの使用状況によって異なるが、パッドの耐用走行距離は一般的には3万kmから5万Kmくらいは可能。リヤ側のブレーキで使用されることの多いドラムブレーキのブレーキライニングは、ブレーキパッドの1.5倍強くらいの耐用度がある。

ただし、ここで例としたパッドやライニングの耐用走行距離は、あくまでも一般的な目安だから、自動車ユーザーの義務としては1年に1度の定期点検を行うこと。自分で点検することによって、自分の走行パターンとパッドの磨耗量の関係を知ることもできる。ちなみに、新品のブレーキパッドは10mmほど、ブレーキライニングは5mmほどの厚さだ。

ここで、ちょっと気になるのは、「ブレーキパッドやブレーキライニングの残り量が少なくなると、ブレーキの効きは悪くなるのだろうか」ということだろう。これは基本的に無関係だ。

ブレーキパッドやブレーキライニングが実際にブレーキ機構の中で作用をしている箇所は、その表面部分でしかない。だから、極端にいえば、ブレーキパッドもブレーキライニングも、紙一重の厚みさえ残っていればブレーキは正常に作動する。ただし、パッドやライニングがペラペラな状態になると、ブレーキが作動したときに、パッドやライニングが土台の金属プレートから剥がれてしまう可能性がないとはいえない。こうなると、ブレーキは正常に作動しなくなる。

ブレーキパッドやブレーキライニングの材質によってブレーキの効き具合に違いは出るがそれは別として、ブレーキの効き具合の基本になるのは、ブレーキパッドとブレーキローターの隙間、あるいはドラムブレーキの場合はブレーキライニングとブレーキドラムの隙間だ。

ブレーキパッドやブレーキライニングはブレーキを使用するたびに磨耗して、ブレーキローターやブレーキドラムとの隙間が大きくなる。この隙間が修正されないと、ブレーキペダルのアソビ量が多くなり、ブレーキの効き具合が悪くなるのである。

実際のブレーキ機構では、ブレーキパッドとブレーキローター間やブレーキライニングとブレーキドラム間の隙間が自動調整される構造になっている。だが、10年間、10万Km走行に至るまで、まったくブレーキ機構のオーバーホールを行わないで使用し続けていると、自動調整の作用が十分に行われない状態になり、ブレーキの効き具合が悪くなる。

ということで、多くのブレーキの効き不良の原因は、ブレーキパッドやブレーキライニングの残り量とは別の問題。走行距離増大に伴う効き不良は、あくまでも、ブレーキ調整機構の作動不良が原因なのである。