ページ

2011年10月31日月曜日

いまさら聞けないドラテク基礎の基礎  「ドリフト走行」


ドリフト走行は、本来ラリーにおける"速く走るための ' テクニック ' なのだが、速さは別にしてもドリフト走行は掛け値なしに楽しい走り方であることは間違いない。

最近ではわざとリヤタイヤにグリップの低いタイヤを装着してテールスライドを発生させやすくしたり、ドリフト向きのサスペンションセッティングを施しているクルマもある。サイドを引いて低い速度で無理矢理スライドさせることもあるようだ。

だが、ドリフト走行は本来、狭い林道でできるだけ早く姿勢を変化させ、ライバルより少しでも早くアクセルを踏むためのテクニックである。ドリフトさせるにはまず確実に姿勢変化させるテクニック、つまりドリフトのきっかけづくりのテクニックが必要だ。

オーソドックスなきっかけづくりは、やはりブレーキングドリフトだろう。コーナー間の直線が短ければ車速は上がらないので次のコーナーに入る際にブレーキングが必要ない、という場合もあるが、大抵のコーナーはブレーキングしながら進入する。このブレーキングを利用して姿勢を変化させるのだ。

ブレーキングしながらステアリングを切り込むと、自然にテールスライドが発生するようになる。もちろんフロントタイヤをロックさせるようなブレーキングは御法度だ。まず、アンダーステアとなり、コースアウトとなるが、しっかり荷重移動していればテールがスーッとスライドしていく。

そのスライドに合わせたカウンターステアを当てるわけだが、ここまではどんな車種でも同じだ。つまり、駆動方式とは関係ない基本的なテクニックといえる。しかし、ここから先は駆動方式別に少々操作が違ってくるので注意が必要。

もっともドリフト向きな車種といわれているFRだが、カウンター量ももっとも大きくなり、スライドに合わせて微妙なアクセルコントロールが要求される。適切なカウンターも大切だが、アクセルコントロールこそがポイントといっていい。

基本的には、スライド量が多くなればアクセルを抜いてリヤをグリップ方向に働かせ、スライド量が足りないと思えば、さらにアクセルを踏み込めばいい。ただ、初心者のうちはどうしても操作が粗いから、流れすぎたと思ってガバッとアクセルを抜くと一気にリヤがグリップしてアンダーが発生したり、逆に流そうと思って踏み込むと一気にスピンしたりするわけだ。

このアクセルコントロールを身につけるには、繰り返しトレーニングするしかないが、身につけてしまえば自在にドリフトを維持したままの走行ができるようになる。そのあたりのコントロール性の高さがFRの武器といっていいだろう。

一方、FFはドリフトの維持は難しいが、アクセルコントロールは比較的ラク。もちろんスライド量にもよるが、基本的にはアクセル全開のままでいい。FFはアクセルオンでフロントが流れるから、その流れをカウンターの代わりに使うわけだ。だから、FFはインに切り込んだままのスタイルになることが多い。

アクセル全開のままのドリフトは4WDでも同じだ。特に4WDはトラクションが異常に高い。ターマックでアクセルを抜いてしまうと、4輪があっという間にグリップしてしまう。ただ、アクセルオンでフロントもリヤも同時にスライドするため、カウンター量はきわめて少なく、ほぼ直進状態を保ったスタイルになる。これが4WD特有のゼロカウンタードリフトである。