ページ

2010年11月16日火曜日

いまさら聞けないドラテク基礎の基礎  「カウンターステア」


「カウンターステア」は、ドライビング論を語る際によく出てくる言葉だ。

"カウンター"という言葉からも想像できるように、走行中にテールスライドが発生した際、ステアリングをコーナーの向きと反対方向に当ててやるテクニックの事を言う。

最近ではドリフト走行が人気を集めており、コーナーとは反対向きにステアリングを切りながらドリフトしているシーンを見る機会も多いだろう。あのステアリング操作こそがカウンターステアである。

コーナーと反対向きにステアしているのになぜ曲がっていくのかと不思議に思う人もいる事だろう。

もちろん、コーナーアプローチではちゃんとインに向かって切り込むのだが、その後テールスライドが発生したとすると、そのままの状態ではスピンしてしまう。

そこで、フロントタイヤを逆方向に切る事によりフロントをスピンと反対方向に進ませ、スピンしようとする力をうち消してやるわけだ。

カウンターステア自体はそれほど難しいテクニックではない。誰でもスピンしそうになると半ば無意識のうちにカウンターを当てるからだ。問題は当てる量やタイミング、そして戻すタイミングがうまく噛み合わない事にある。

初心者が犯しやすいミスでもっとも多いのは、まずテールスライドが発生した際の当て遅れだろう。

普段、街中を走っていてテールスライドすることなどほとんどないはず。そこで日頃経験しない挙動変化が現れるとどうしても操作するタイミングがワンテンポ遅れてしまうのだ。

操作が遅れるとそのあとのすべての処理に無理がかかってくる。

当てるタイミングが適正ならばほんの少しのカウンター量で済む。しかし操作が出遅れるとその間にテールスライド量も必然的に大きくなってしまうため、スライドを止めようとするとさらにカウンター量を大きくしなければならない。つまりステアリングを回す量が多くなってしまうわけだ。

ステアリングの操作量が多くなれば、それだけ適正な量だけ操作することも難しくなってしまう。しかもカウンターは当てっぱなしで済むわけではない。スライドが収束してきたら戻してやらなければならない。この戻しも適切にできない場合が多いのだ。

カウンターを当てるのが遅い場合、大抵は戻すのも遅くなる。すべての操作が後手後手に回ってしまうわけだが、戻しが遅れるとリヤタイヤがグリップし始めているのに、まだカウンターが当たっているという状態に陥る。

カウンターはコーナーとは反対向きにステアしているのわけなので、リヤがグリップした途端、今度はカウンター方向にノーズが向いてしまう。つまりアウト側に向かってすっ飛んでいくわけだ。

これを修正しようと再び切り込むが、ここでもまた操作が遅れ、それをさらに修正しようと再びカウンターを……という具合にいつまでもヨロヨロと蛇行してしまう。

これは俗に"タコ踊り"と呼ぶ。みっともない走りの代表例である。

まずはテールスライドという挙動に慣れ、焦らず適切な処置が取れるよう身体に覚え込ませることが第一である。