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2011年10月25日火曜日

メンテナンスの基礎の基礎  「デフオイル交換」


ディファレンシャルギヤと一体構造になっているファイナルギヤは、FF車とFR車(または4WD車のデフ)によって構造が異なっている。

FF車はミッションからの駆動力方向をファイナルギヤで変換することなくドライブシャフトを経由してホイールに伝達することができる。

これに対し、FR車や4WD車のリヤデフは、トランスミッションを経由してプロペラシャフトから伝達された駆動力の方向を90度変換した上でドライブシャフトに伝える。縦置きエンジンFRベース4WD車のフロントデフも、駆動力の方向変換機能を備えている。

ここで、FR車のファイナルギヤについて述べているのはなぜかというと、FR車のファイナルギヤに課せられた駆動力の方向変換機能が、デフオイルとして使用するオイルの規格上の違いに影響を及ぼしてくるからである。

FRや4WDのリヤデフは、駆動力の変換をするために円形状のリングギヤと、傘のような形をしたピニオンギヤを組み合わせた構造のギヤユニットを使っている。

このギヤユニットはどうしても外観が大きくなり、ギヤケースと地面の空間を十分に確保しにくい。その点を解消する目的で、リング状のギヤに対して傘状のギヤが偏芯するような状態で組み付けられている。

この偏芯したギヤの組合せを「ハイポイドギヤ」といい、このタイプのギヤは一般的なギヤの組合せよりもギヤに対する負担が大きい。そのため、ハイポイドギヤには、ハイポイドギヤ専用のオイルを使用する必要がある。また、FF車では、MTでありながらミッションとデフ一体用のオイルとしてATF(AT用フルード)を使用している車種もある。

デフオイル交換を自分で行うことは不可能ではないが、それ以前の問題として、自分のクルマのデフやミッションに最適なオイルのタイプを十分に知っておく必要がある。

デフオイルやミッションオイルは、それぞれの車種によって多種多様なオイルが使用されている。もし、仮にデフオイル交換をショップに依頼した場合、担当をするサービスマンが、それぞれの車種のデフオイルに対する十分な知識を備えているとはかぎらない。特に4WD車のトランスファーオイルは、かなり特殊なオイルを使用していることがある。

したがって、ユーザーとしては、交換作業を依頼するサービスマンの能力を確かめるために、使用オイルについて質問をしてみることだ。

デフオイルの交換方法は、基本的にミッションオイル交換と変わらない。デフケースに入っていたオイルをドレーンプラグから抜き取り、オイル抜取り時点でドレーンプラグを締めた後、フィラープラグから新しいオイルを注入する。

ここでドレーンプラグからオイルを抜き取るときには、同時にフィラープラグを外しておいたほうが古いオイルが流れ落ちやすい。

デフオイル交換は単純にいえば、ドレーンとフィラーのプラグを外すだけの作業だが、実際にはプラグが硬く締まっていて緩めることができないとか、プラグを締め付けすぎてギヤケースに亀裂が入るといった問題が発生してくる可能性もあるので、作業の難易度としてはエンジンオイル交換より何倍も難しい。