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2013年10月10日木曜日

スペイン・D.O.イエクラ発。進撃のモストレル!「バラオンダ・カロ」



消費者とプロ、双方に向けてワインについてより多くの情報を届け、品質のよいワインを選ぶ指針を提供することを目的とし、毎年ドイツで開催されている国際ワインコンクール「ムンダ・スヴィニ・インターナショナル・ワイン・アワード」。

5000本近くのエントリーの中から、最高賞である金賞を受賞できるのは僅かその一割にも満たないという厳しいワインコンクールで、2011年、見事金賞を受賞したのがスペイン南東部、D.O.イエクラ発のニューカマー「バラオンダ」である。

バラオンダのワイナリーとしての歴史は、1850年、ペドロ・カンデラ氏が自宅の一部に設けた小さなセラーで造ったワインを少しずつ販売し始めたことに始まる。1925年、2代目となるアントニオ・カンデラ・ガルシアは、「ボデガス・アントニオ・カンデラ」の名の下、自社畑でのワイン造りを開始。3代目アントニオ・カンデラ・ポベラ氏の時代にはワイナリーは醸造面で大きな飛躍を遂げる。販売が徐々に軌道に乗るようになるにつれ規模は拡大し、最新の醸造設備も設置されるようになるなど近代化が図られた。4代目のアルフレド・カンデラに引継がれた1990年代になると、国際市場を見据たワイン造りが始められ、それに伴い現在のバラオンダ社が設立された。

バラオンダ社の使命は「地ブドウであるモストレルの魅力を開花させること」と「最高の選果(ブドウを選ぶこと)と最高の醸造と設備による " クオリティワイン " 」。

スペイン南西部ムルシア州に位置するD.O.イエクラは、世界的なワイン評論家のロバート・パーカー氏も絶賛する " モストレルの聖地 " 。その恵まれたテロワール(土壌)のもと、有機栽培を実践、最高の栽培環境で育まれたモストレルから生み出されるバラオンダのワインラインップの中には、ミシュラン三ツ星シェフ、マルティン・ベラサテギ氏とのコラボした商品もある。

モストレルは、レバンテ地方(バレンシア州モルベドレ村付近)が起源の地ブドウで、適熟には南スペインの強烈な太陽が不可欠。

15の原産地で使用が認められているが、モストレル種を主力する産地はムルシア州のフミーリャ、イエクラ、プリャスの三ヶ所。

モストレルは身が小さくて皮が厚いという記録が15世紀の書物に残っているほど古くから栽培されており、フィロキセラ(ブドウネアブラムシ、ブドウ樹の葉および根にコブを生成し、ブドウ樹の生育に害を及ぼし、やがて枯死に至らせる昆虫)の蔓延後、フランスに渡りムールヴェードルとなる。

なかなか熟し難く、収穫時期が非常に遅い品種としても知られており、先述した通り適熟には南スペインの強烈な太陽が不可欠である。

これまでモストレルは他の品種とブレンドされて使われることが多く、主体的に凝縮感のある素晴らしいワインができると考えるワイナリーは皆無だった。しかし近年、バラオンダを初めとするムルシア州のいくつかの造り手が、モストレルがカベルネやシラーの補助品種だけでなく、単体、あるいは主体でも素晴らしいワインが造れることを証明しつつある。

そんなバラオンダの逸品を入手したので早速テイスティングしてみた。

開栓して感じるのはそのフルーティーな香り、ベリー系のスゥイートで晴れやかな香りの中に隠れ、かすかにスグリ系の芳醇なフレーバーを感じる。美しいルビー色のカラーとフルーティーな香りは、20代前半、少女と女の端境期の女性をイメージさせる。

しばらく馴染ませ、少し開いたところで口に含む。ファーストアタックは柔らかく、甘みすら感じるまろやかなタンニンである。しかし、それでいてしっかとしたボディを感じさせるのは、直球勝負のテンプラリーリョやグルナッチャとは異なるモストレル特有のマジックと言えるだろう。

もちろんパエリアやトリティーヤといったスペイン料理の相性も抜群。思わず作ってしまった。


トルティーヤ(スペイン風オムレツ)                アサリと鶏のパエリア






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