272の272、272の288、288の288、304の288、300の288、e.t.c.
これでピンと来るのはかなり年季の入った走り屋である。
そう、往年の名機・2TG型エンジンのハイカムシャフトの組み合わせである。
ハイカムとは、通常のカムプロフィールよりもバルブリフト量やオーバーラップを大きくしたチューニングパーツのこと。一般的には高回転を多用するレースエンジンに用いられる。
ブロックをボーリングして18RGのピストンをブチ込み排気量を1750ccにボアアップした2TGに、TRD製「272の288」のハイカムを組み込んだ通称 ' イナゴ ' 仕様。
その昔、そいつにトキワ製三国ソレックス44PHHのツインキャブと、TRD製のタコ足とフジツボ製のエキゾーストパイプ&マフラーを装着したTE27レビンに乗っていた時期がある。
パワーは計測した事はないが、体感的推定実馬力は恐らく140馬力若干オーバーだったような。
数値的だけ見れば非力に感じるが、どっこい車重僅か800キロ台の超軽量ボディとの組み合わせは強烈!悶絶!
TRD製の強化クラッチ、TRD製のラリー用強化リーフスプリングとフロント低圧ガス封入式/リヤ高圧ガス封入式(ド・カルボン)のラリー用ショックアブソーバーだったこともあり、ラフなクラッチミートではリヤの板バネ式リジッドサスペンションが激しくジャダった。
トラクションのトの字もない。
特に怖いのが雨の日。イニシャルトルクを16kgに設定して組み込んだTRD製の4ピニLSDの効果も相まって、マンホール通過の際にラフにアクセルを開けようものなら即座にタコ踊り状態だった。
一度、渋谷の宮益坂交差点で左折する際に、信号待ちの大衆の面前でフルカウンターを披露した事がある。
トラクションなど知った事か!(完全な開き直り)。
クォ~~~ッ! という千葉真一の ' 息吹 ' のようなソレックス独特の吸気音と共に、一気呵成にレッドゾーンを目指すタコメーターの針!
もうそれだけで充分。
チューンドNAの醍醐味ここに極まれり。
あ~! 昭和30年代前半に生まれてよかった~。