2011年8月30日火曜日
チューニングの基礎知識 「ブレーキフルード」
ブレーキの油圧機構にはブレーキフルードが使用されている。ブレーキフルードに関連するトラブルとしてベーパーロックがあるが、これはブレーキの使用によって発生する熱でブレーキフルードが沸騰状態になり、ブレーキフルードの中に気泡が発生する現象である。
ベーパーロックが発生した状態だと、ブレーキペダルを踏んでも気泡を潰しているだけなので、ブレーキ油圧回路に圧力が発生しない。その結果、ブレーキペダルを踏んでもペダルがフロアまで入りこんでしまうのである。
ベーパーロックは、長期間ブレーキフルードを使った場合や、過酷なブレーキングを多用した場合などに発生する。過酷なブレーキングを多用する場合は、沸騰点の高いブレーキフルードを使用することで、ベーパーロックの発生点を高めることはできる。
ブレーキフルードは ' DOT ' という基準によってランク付けが行われている。一般的なノーマル車で使用しているブレーキフルードはDOT3クラスだが、モータースポーツ走行を前提にした場合は、DOT4あるいはDOT5クラスが適している。
DOT4以上のような高沸騰点タイプのブレーキフルードは、低沸騰点タイプよりも使用期間の影響による沸騰点の低下度合いが大きいといわれる。しかし、高沸騰点タイプのだからといって、とくに劣化が早かったり、沸騰点の低下度合いが大きいということはない。
ブレーキフルードは、湿気の混入によって沸騰点が低下する性質があるため、数年前までは車検ごとの交換を指定していた車種が多く見られ、ディスクブレーキが登場した当初は、1年ごとの交換が指定されていた時期もあった。しかし、最近は、ブレーキフルードの交換時期を5年間という指定にしている車種も見られる。
一般的な走行であれば、メーカーが指定している交換時期まで使用してもとくにトラブル発生の心配はない。だが、チューニングカーとしての走行頻度が高い場合には、1年間に1度くらい交換しておいたほうが無難である。
ブレーキフルードは、性能が低下したフルードが混ざると、新品フルードの性能が低下してしまうため、フルード交換をするときにはかぎりなく全量が新品になるまで、十分に古いフルードを抜き取りながらエア抜きを行う必要がある。