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2011年8月28日日曜日

チューニングの基礎知識  「ターボチャージャー」


ターボチャージャーは、排気の力で回転するタービンホイールとエンジンの中に空気を送り込む役目をするコンプレッサーホイールの組合せによって成り立っている。そして、2つのホイールが1本のシャフトによって連結され、それぞれのホイールがハウジングの中に納まった構造になっている。つまり、タービンホイールが排気の力で回転すると、同軸上のコンプレッサーホイールが回転し、そこで発生する回転力によってエンジンの中へ強制的に空気を送り込むのである。

タービンホイールとコンプレッサーホイールを結んでいるシャフト部分はエンジンオイルによって潤滑と冷却が行われ、さらにエンジンの冷却水をシャフトの周囲に循環させてオイルを冷却する構造のターボが増えている。

ターボはエンジンの排気によって作動する機構であるため、コンプレッサーホイールがエンジンの中に送り込む空気の量と圧力は、排気の状態によって自働的に決まってしまう。そして、あまりにも過給の圧力が高くなりすぎると、ノッキングが発生したり、燃料の供給が不足ぎみになって稀薄状態になる可能性がある。

ノッキングも燃料稀薄もエンジンにとって好ましいものではなく、その症状が大きいとピストンやバルブが溶けるトラブルに発展する。そのような危険状態を避ける目的で、コンプレッサーの圧力が規定値以上になったときに圧力をコントロールする機構が設けてある。このコンプレッサーの圧力をキャッチする機構が「ウエイストゲートバルブ」で、インテークマニホールドからの圧力が高くなると開く構造になっている。

ウエイストゲートバルブは、タービンと排気ガス通路の途中に装着されているため、ウエイストゲートバルブが開くことにより、タービンへ向かう排気ガスの一部がバイパスされ、タービンホイールの回転数が低下。同時にコンプレッサーホイールの回転数が低下し、エンジンに過給する空気の量がコントロールされる。その結果、パワーの発生もコントロールされることになるのである。

ノッキングは圧縮比との関係もあり、圧縮比が高くなるほどノッキングの発生度が高くなるが、圧縮比が高いほうがエンジンの性能がアップする。ウエイストゲートバルブは空気の供給過多によるノッキングの発生を抑える機能であるが、ノッキングに対してはノックセンサーによってコントロールを行うエンジンが増えており、その結果、圧縮比の高いターボエンジンが可能になってきた。

今ではほとんど行われなくなったが、ノーマルエンジンとしてターボエンジンが設定されていなかった時代には、NAエンジンに対してターボを装着するチューンが行われた。これが、「ボルト・オン・ターボ」である。

以後、ノーマルエンジンとしてターボエンジンが登場してからは、ノーマルターボの最大過給圧をアップすることがターボチューニングの常道のようになっている。