2012年11月2日金曜日
カーメンテナンスの基礎知識 " ミッションオイル交換 "
ATやCVTに使用しているオイルは石油を原料にした鉱物油ではないため、「フルード」呼ぶことが多い。
ミッションに使用するオイルやフルードは4万~6万km走行くらいでの交換が指定されているクルマが多いが、最近は、クルマの寿命期間は交換不要とされているものもある。
しかし、ミッションオイルはミッションギヤの潤滑を行い、ATやCVTでは油圧を発生させる作用もあるため、経年による劣化が発生しないはずがない。したがって、「ミッションオイル交換不要」の指定がある場合でも、最低10万km走行ほどになったら交換したほうが、以後の走行は安心である。
また、ATやCVTフルードは高温状態になると性能低下が大きくなるため、モータースポーツ走行のような過酷な走行をした場合はフルードの臭気や汚れをチェックし、新品フルードと異なる色や臭いが発生していたら随時交換する必要がある。
マニュアルミッションオイルは、ギヤオイルとして指定された規格のオイルを使用し、ATやCVT用のフルードは、それぞれAT用、CVT用として指定されているフルードを使用することが原則。ATやCVTは、ミッションとしての性能を十分発揮することを前提として指定フルードの性能が加味されているため、異なったフルードを使用すると、変速ショックが大きくなったり、駆動作用にスリップが発生する可能性がある。
フルードおよびオイル交換の基本方法は、ミッションケースの下側に設けてあるドレーンプラグを外して古いフルードを放出した後、新しいフルードを注入する。つまり、基本的にはエンジンオイル交換と変わらない。
ただし、ATとCVTは、ドレーンプラグから抜き取っただけでは全フルードの3分の1程度しか抜き取ることができないので、全量を交換するには専用のポンプを使用したり、ATの場合はエンジンを回転させながら、AT本体が備えているポンプ機構を使ってフルードを圧送する必要がある。
このような方法でフルード交換をするのは、一般ユーザーには困難である。したがって、ATやCVTのフルード交換は、専門設備のあるサービス工場に依頼するのが賢明だ。また、違った種類のフルードが混ざり合ったり、フルード交換作業が正常に行われなかったりしてトラブルが発生することもあるので、信頼できるサービス工場を選ぶことが大切だ。
MTのオイル交換はATやCVTほど困難ではない。ただし、新しいオイルを注入するフィラープラグ位置の周辺が補機類で混雑状態になっている場合は、専用の給油ポンプを使用しないと注入できない可能性も出てくるため、オイル抜取りの前に、手持ちのオイルジョッキなどで給油ができるか否かを確認しておく必要がある。