2012年6月17日日曜日
エンジンチューニングの基礎知識 「バルブスプリング」
カムシャフトがバルブの「開き」を担うパーツならば、バルブスプリングは開いたバブルを元の位置に戻す、すなわち「閉じる」ことを担当するパーツである。
そのためハイカムシャフトに交換するなどして最高回転数がアップした場合には、それに伴いバルブスプリングの強化が必要となる。
なぜなら、バブルスプリングの強度が不足するとカムシャフトの動きに追従することが困難となり、高回転域で回らなくなってしまうからである。
これではハイカムシャフトに交換しても意味がない。
特にサージング現象と呼ばれるスプリングの共鳴が発生すると、スプリングの「巻き」部分が接触して騒音を発し、最悪の場合には破損に至る。
そうしたトラブルを回避するためにもバブルスプリングの強化が不可欠となる。
強化バブルスプリングはスプリングのバネ定数を強化したパーツで、通常はハイカムシャフトとセットで交換される。
強化バブルを選ぶ際には必ずフリー状態での自由長が揃ったものを選択することが大切だ。
また、取りつけた際に自由長が異なる場合には、スプリングシートシートの枚数を変えるなどして調整するのが一般的だ。
強化バブルスプリングの中には、サージング防止のためスプリングの巻き数が異なる不等ピッチを採用したものもある。
不等ピッチを組み込む場合、巻きの粗密から取り付け位置を確認することが大切だ。
因みに、通常は巻きが密になっている方がシリンダーヘッド側となる。
余談だが、その昔、ホンダのF1エンジンでは、スプリングの代わりにエア(空気)圧を利用したものもあった。