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2012年6月3日日曜日

カーメンテナンスの基礎知識  " タイヤ交換 "

走行によってタイヤのトレッドが磨耗すると、1本ずつの溝を横方向につなぐようなかたちの突起部分が現れてくる。この、トレッドに現れる突起が、「スリップサイン」と呼ばれるタイヤの使用限界サインである。

タイヤのトレッドは、地面とタイヤの間に入り込む雨水を排除し、雨天時のスリップや、雨水の膜の上をタイヤが滑るハイドロプレーニングなどを防ぐ役目がある。また、トレッドが十分残っていることでタイヤに発生する熱が放出され、熱によって発生するタイヤの危険状態を回避することができるのだ。このスリップサイン発生時のタイヤトレッドの残り溝は1.6㎜以下という基準が設けられている。

スリップサインは一般的なタイヤの磨耗限界警告だが、スタッドレスタイヤでは、トレッドの残り溝が50%以下になると、スリップサインと同じような状態で「プラットフォーム」という警告サインが現れる。これは雪道での走行能力が限界に達していることを表している。ただし、雪道以外の道路での使用は、次の段階のスリップサインが現れるまで可能である。

ホイールからタイヤを外したり、新しいタイヤをホイールに組み込む作業を一般ユーザーが自分で行うことは不可能である。かつては、バイクなどと同じように2本のレバーを使用してタイヤとホイールの組替えを行っていたが、この方法だとホイールに傷が付きやすい。したがって、ホイールとタイヤの組替えは、専用のタイヤチェンジャーを使用して行うことが一般的である。このほか、タイヤ交換時は、ホイールバランスの点検と調整を行う必要があり、この作業には専用のテスターが必要になる。

ノーマルタイヤとはサイズの異なるタイヤを装着するときは、タイヤの扁平率と外径を考慮しながら選定する必要がある。例えば、一般的な扁平率70%のタイヤを扁平率60%のタイヤに変更する場合、扁平率70%のタイヤ装着時に使用していたホイールよりも1インチほど長い直径のホイールに組み合わせるタイヤを選定することで、扁平率70%タイヤの外径と扁平率60%タイヤの外径が近い値になる。このようなサイズ変更を「インチアップ」と呼ぶ。なお、タイヤのカタログには外径が記載されているので、この数値を参考にすれば、ノーマルタイヤとの扁平率が大きく異なるタイヤの中から、ノーマルタイヤの外径に近いタイヤを選び出すことが可能になる。

タイヤの外径にこだわる理由は、タイヤの外周寸法を元にして設定されているスピードメーターに誤差が生じないようにするためだが、それと同時に、クルマが走行するための駆動力を減少させない目的もある。

外径の大きなタイヤは地面からドライブシャフト中心までの長さが長いため、同じ駆動力を得るためには、外径の小さなタイヤを使用しているときより、大きなトルクが必要になる。一方、クルマ側の駆動力はノーマルタイヤ装着時と変わらないため、外径の大きなタイヤを装着すると駆動力が低下してしまうのである。








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