ディーゼルエンジンの唸りを子守唄に、船倉近くの二等客室(ザコ寝)での狂乱の夜が明けた。
気が付くと客間のカーペットには一升瓶やらウィスキーの空瓶やら缶ビールの空き缶などが散乱し、足の踏み場もない状態となっていた。
新鮮な外気が吸いたくなり、長い階段を上りデッキに出た。鉄扉のハンドルを回して扉を開けた瞬間、東京では絶対に味わう事ができない外洋上で生まれたばかりの新鮮な空気が肺腔一杯に流れ込んできた。
空気が甘いと感じた事は、これまでの人生でその時がただ一度切りの経験だった。とてつもなく巨大な太陽が左舷から昇るのを見ながら、デッキの上で深々と深呼吸を繰り返し、ブルーに煌めく海面を目を移せば、まるでストレチア丸と並走するかのように無数の飛び魚が飛翔を繰り返していた。
まさにマザー・アース、ディープ・ブルーの世界であった。
それまで、大自然の風景や営みで感激した事など皆無だったが、この時ばかりは柄にもなく、母なる海に対する敬虔な気持ちから、思わずジーンと目頭が痺れてしまった。
太陽が水平線からほとんど顔を出した午前5時、ストレチア丸は三宅島の東側の三池港に静かに接岸した。遥々来たぜ三宅島! 大路池はもう目前だ。待ってろモンスターバス!!
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