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2011年6月22日水曜日

1967年式シェルビー・マスタングGT500


1967年、289cu.in.(4700cc)V型8気筒OHVエンジンを搭載するシェルビー・マスタングGT350のエンジンルームに、428cu.in.(7000cc)のフルサイズ用エンジンを押し込んで誕生したのがシェルビー・マスタングGT500である。

搭載される428cu.in.はフルサイズ用のユニットをベースに2基の4バレル・ホーリー・キャブを装着し、吸排気系にも手を加えた通称“ポリス・インターセプター”仕様で、10.9の圧縮比により最高出力350馬力(SAE)のものと、11.5の圧縮比により最高出力425馬力(SAE)との2種類の仕様が用意された。

いずれのパワーユニットもあり余る巨大トルクを武器に1490kgの車重を軽々と200kmオーバーの最高速度まで引っ張る事が可能だった。

サスペンションは、フロントがダブルウイッシュボーンの独立式、リヤが半楕円リーフバネの固定式である。

サスペンションはかなりハードに締めあげられてはいるものの、428cu.in.ユニットが発生する巨大パワーを路面に伝えるには役不足だった事実は否めない。特にリヤの固定式サスペンションは、少しでラフにアクセルを開けるとすぐにジャダーが発生しドタバタと暴れた。まさに野生の荒馬(マスタング)の面目躍如である。

ブレーキはフロントにキースレー・ヘイズ社製のベンチレーテッドディスクブレーキ、リヤはドラム式ブレーキをそれぞれ採用している。

リヤフェンダーには、ブレーキ冷却用の空気取り入れ口が設けられ、鎌首をもたげたコブラのエンブレムやボディ側面を飾るサイドストライプ共にシェルビー・マスタングGT500の特徴の一つとなっている。

小柄なボディ(それでも充分でかいが・・)にビッグトルクエンジンを搭載したこのクルマ、当然の如く直線では最高に楽しいクルマである。

高速道路を普通に流していても、ちょこっとアクセルを踏めばどの回転域からでも図太いトルクが発生して一気に怒涛の加速状態となる。大排気量、大トルクのエンジンならではのイージーさである。

シェルビーチューンによるサスペンションもロールが抑えられ意外にも俊敏。

さらに、巨大なマスターバックが装着されたブレーキの効きは超強烈で、大袈裟ではなく、シートベルトをしっかりと締めあげていなければ下手するとダッシュボードに頭をぶつけるほど!

エンジン始動時の轟音と、アイドリング時のフルサイズV8ユニットの荒々しい息遣い。どれもがドライバーの感性を刺激する。

余談だが、GT500がデビューした翌年の1968年には、GT500をベースにさらなるチューンナップが施されたスペシャルモデルGT500KRがリリースされた。因みにKRとは ' King of Road 'の略称である。

1967年式シェルビー・マスタングGT500は、豊かだった1960年代のアメリカを象徴するアイコン的スポーツカーと言えるだろう。