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2010年9月18日土曜日

BMW M1


開発コードナンバーE26、BMW M1。

当時、ヨーロッパのGTカー選手権はポルシェの牙城であった。それに対抗すべく計画されたのがE26開発プロジェクトである。

BMW社は、自社のモータースポーツデイヴィジョンであるBMWモータースポーツが、既存プロジェクトの開発で手一杯であった事から、当時深刻な経営危機に陥り、ほぼ倒産状態だったランボルギーニ社にその開発を委託した。

開発は、後にシャシーコンストラクターとしてその名を馳せるジャン・パオロ・ダラーラが担当した。

M1のシャシーは角型鋼板で形成されたセミスペースフレームが採用され、全ての応力を強靭なフレームのみで受け止める構造となっている。応力のかからない外板は全てFRP製で、ボルトオンと接着を併用して装着された。

ゲルマンカー特有の直線美と、イタリアンスポーツ伝統の曲線美とを見事に融合させた斬新なボディデザインは、巨匠ジョルジェット・ジウジアーロ率いるイタルデザインが担当している。

パワーユニットは、ヨーロッパツーリングカーレース用に開発されたM88型3.5リッター直列6気筒DOHCエンジンを運転席の後方ミドシップに搭載している。

直列6気筒というレイアウトゆえ、エンジン長が長く、ホイールベースの延長(2560mm)というマイナス要因はあるものの、オイルパンを必要としないドライサンプ方式を採用することにより、エンジンの搭載位置を大幅に下げる事に成功している。

M88型は、クーゲルフィッシャー社製の機械式インジェクションが装着され、レッドゾーンに近い6500回転で277馬力の最大出力を発揮する。

しかしながら、その出力特性は決してピーキーではなく、BMWビッグシックスエンジンの特徴である低回転域から発生する分厚いトルクのお蔭で、実用域でもユースフルなエンジンに仕上げられている。

サスペンションにはスポーツカーの定番とも言えるダブル・ウイッシュボンを前後に採用。低重心化とも相まって、まるで地を這うようなロードホールディング性能を発揮する。

このクルマ、当時は本当に欲しかった。

一度だけ仕事で乗った事があるが、背中で吠えるM88型エンジンのエキゾーストノートには心底痺れた。

クイック且つ正確なハンドリングは、サスペンション性能もさることながら、パイプフレームで構成された高剛性シャシーに起因するところが大きい。

ゲルマンカーの豪快さとイタリアンスポーツの繊細さを併せ持つ異端のスーパーカー、BMW M1。

チャンスがあれば是非もう一度乗りたいものだ。